多くの人にとって「ヘルスケアガジェット」と言えば、せいぜい歩数計や心拍計止まりだろうが、いまや「心の健康」もガジェットで測る時代。具体的には「集中力」や「ストレス」などだ。

「数年前から、こうしたガジェットが増えてきましたね。クラウドファンディングが登場して、従来のニーズからするとニッチとされてきた製品にも資金が集まりやすくなったからでしょう」と話すのは、医療・健康情報に造詣の深いライターの鈴木祐氏。自他共に認めるガジェットオタクであり、気になる新製品はいち早く手に入れて試している。

　新ジャンルだけに怪しげな製品も散見されるが、ここでは鈴木氏が実際に使ってみて「これはイイ！」と太鼓判を押したアイテムを厳選して紹介しよう。

◆腹部の動きを感知して「緊張状態」を警告！

　まずは「集中力」を測る「Spire」。鈴木氏のいちばんのお気に入りだ。

「このガジェットは、腹部の動きを感知して呼吸の変動を測るんです。緊張状態にあると呼吸は速くなり、リラックス状態だと遅い。集中状態というのはちょうどその中間なんですね。緊張状態になるとSpireが振動して『深呼吸をしろ』と教えてくれるので、緊張状態をリセットできるんですよ」

【集中力チェック：活動量計「Spire」】
ベルトの裏など腹部に当たる場所に取りつけて使用する。緊張状態になると振動してアラート。緊張状態のままで作業を続けても効率が下がるだけなので、集中力の回復に効果大。参考価格1万6280円。



◆心拍変動を測定してストレスを可視化する

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　「OURA Ring」はズバリ、ストレス度を測るガジェット。

「この製品が新しいのは、ただの"心拍数"ではなく"心拍変動"を測定している点です。平たく言えば"脈の乱れ"ですね。脈拍というのはストレスが多いほどリズムが一定になるものなんです」

　スマホの管理画面には、日々のストレス度が数値で示される。気づかないうちに溜め込んでいるストレスを可視化してくれるので、心身に不調をきたす前に手を打つこともできるだろう。

【ストレスチェック：スマートリング「OURA Ring」】
指にぴったりハマり、リストバンド型の製品と比べても高い精度が期待できる。寝ながらつけても違和感を感じさせないのも◎。公式サイトのみの販売だが、日本への発送も可。公式サイト価格299ドル。



◆脳からα波が出ている状態を体に覚えさせる

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　ヘッドバンド風の「muse」は、おでこに当たる部分と耳に引っ掛ける部分にセンサーがついており、脳の電気活動、すなわち脳波を測定する。

「これは、瞑想をサポートするためのガジェット。瞑想とは『呼吸に意識を集中する行為』なんですが、瞑想を行うことで集中力やストレス管理など、自己コントロールのさまざまなスキルが向上することが科学的に証明されています。瞑想に集中できている（脳からα波が出ている）ときは鳥の声などが聞こえてきて、集中の状態を体に覚えさせてくれるんですよ」

　身につけるだけで自分のポテンシャルが上がっていきそうなアイテムが目白押しなのだ。

「tDSCという技術で脳に直接電気ショックを与え、集中力を覚醒させる……といった未来的な製品まで登場しています。現状では玩具レベルかなという印象ですが、そのうち実効性のある製品も出てくるのではないかと期待してます」

【瞑想サポート：脳波計「muse」】
なかなか体得するのが難しい「瞑想」をサポートするツール。集中時は鳥の声が聞こえ、集中が乱れると鳥が飛び去る……といった、海外製品らしいゲーム性も楽しい。参考価格2万8900円。

取材・文／編集部　撮影／高仲建次　※参考価格はAmazonのもの（並行輸入品）。写真はすべて鈴木氏の私物